天才セッター中田久美の頭脳(タクティクス) 4104590010 新潮社
■Amazonエディターレビュー 日本女子バレーボールの黄金時代を築いた天才セッター、中田久美。セッターのポジションは一見地味だが、司令塔としての重大な役割を持っており、その働きは試合そのものを左右する。そのセッターが戦術について語るというだけでも興味深いというのに、それが「世界の中田」ならなおさらだ。 内容の大半は中田久美と二宮清純の対談で、ときおり二宮のコラムが挿入されている。前半はスポーツの話だけに終始しているが、後半からは、ビジネスをはじめ、すべての勝負に通じる興味深い議論が展開される。たとえ勝っても結果オーライで終わらない、考えることを放棄しない、試合を捨ててでも人を育てるなど、貴重な教訓や考えが数多く示されている。 なかでも、人材育成に関する部分は読みごたえがある。「いいところで決めさせてあげる」「“あなたのおかげで勝てたのよ”という雰囲気を作る」「“一生懸命走ればなんとか間に合う”というギリギリのところに、常にトス」など、後進の指導に関する中田の哲学には、目からうろこが落ちることだろう。 バレーボールファンにはもちろん、マネジャーにとっても、得るところの多い1冊である。(土井英司) |