頼りなく、だらしなく、恋愛感情が芽生えているのかどうかも定かではない両者の曖昧な交流から、不思議とせつなく愛しい感情が醸し出されていく、相米慎二監督ならではの秀作。人生の苦汁ゆえに、人は時折風花のように光り輝くのだろうか…。惜しくもこれが相米監督の遺作となってしまった。あまりにも突然の死去に今は言葉もないが、本作を含め彼の作品群は永遠に輝き残り続ける。そのことだけは間違いないだろう。(的田也寸志)