脱物質化社会 4492222073 東洋経済新報社
■Amazonエディターレビュー 経済格差や失業問題、福祉の終焉、政府の財政赤字、経済のグローバル化、ITの影響…。本書は、現代が抱える多くの課題に対して、「経済がますますウェイトレス化しつつある」という観点から論じている。「ウェイトレス化」というのは、字義どおり、現在の先進国産出額の重量が20分の1に減少していることを意味する。その原因は、伝統的な重工業中心から、サービス化への進展、財の価値に占める新機能などへの移行によるためだ。各種の技術革新の恩恵で先進国は豊かになったが、その一方で、個人が日常生活で経済的リスクにさらされる時代を迎えているという。 本文では、イギリスで導入された「フレキシビリティ」を一例として詳しく説明している。流動性の高い労働市場というのは、けっきょくは二極化を引き起こし、貧富の差を拡大させることにつながると指摘。つまり、経済変化のうねりに対応できるのはほんの一部の人間であり、不安定は不平等と表裏一体だと説いている。だが、経済的変化は今後もどんどん起きていき、21世紀の最初の数十年において、すべての人が生き方を変えていかなければならなのだという。 著者は、イギリスのインディペンデント紙のコラムニストである。20世紀後半から21世紀前半にかけての先進国経済の流れを読み解くとともに、これからの変化や対応方法を示唆する。本書で「ビジネス・ウィーク」ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞している。(玉木 剛) |