「タンポポの国」の中の私 ― 新・国際社会人をめざして 4396611331 祥伝社
■Amazonエディターレビュー サッカーの日本代表戦を見ていると、トルシエ監督と一緒になって日本語を叫んでいる長身の男性がいる。このフランス人が本書の著者である。今ではトルシエの通訳としてのほうが有名だが、本業は「プレミア」という映画雑誌の編集者だ。それもそのはず、父親は有名な映画監督のジャン・ルー・ダバディーで、母は女性誌の元編集長だという。 著者の父はフランス人とイタリア人のハーフ、母はフランス人とアルメニア人のハ―フである。幼いころから国際人になるべく英才教育を受けた著者は、UCLAやカナダへの留学経験があり、英語、イタリア語、ポルトガル語、韓国語、日本語を操る。本書の素材はスポーツと映画だが、核は「世界地図の上から国境がなくなる日がやってくると固く信じる」国際人の文化論だ。「現代は…自国の文化の素晴らしさを宣伝して、外の人にその真価を認めてもらう、その結果、その文化を愛した人が、どこの国の人か関係なく、一体となってその文化を守っていく、そういう時代ではないでしょうか」というくだりには思わず膝を打ってしまった。ほかにも真の国際人ならではの洞察が端々に認められており、興味深い。 とはいえ、各論も見逃せない。映画にしろサッカーにしろ、著者はいわば玄人である。特にトルシエ監督の長所やフランス代表の強さの秘密については、プロのサッカー・ライターでもなかなか書き得ない中身の濃さだ。さすが世界一の代表チームを生んだ国だけあって、サッカー文化の深さを思い知らされた。(齋藤聡海) |